今日泊亜蘭（きょうどまりあらん）氏は大正１０年生まれのSF作家
日本SF開拓者の一人でありますが、SFマガジンの初代編集長である福島正実氏からは敬遠されていたそうで、あまり評価されていないように思います
この短編集も本人が「あとがきに代えて」と称して書いているように字使いの統一がなされていません
ただ、これは作者が望んだそうで、作品が発表された当時の旧カナ、新カナ方式で掲載されており、それも発表年代順に掲載されることで、言葉の変遷を感じることのできる、数少ない作品集として成立しております
本書には表題作を含む２５作が収録されていますが、中でも特筆すべきは戯曲形式で書かれた「怪物」
宇宙を航行する高速船の中にあらわれた姿の見えない怪物と乗組員の死闘をスリリングに描いています。なぜ戯曲形式にしたのか不明ですが、アニメの短編として仕上げたら面白い作品として仕上がりそうです