川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

  • あぶくの城

    フィリップ・K・ディックの研究本 ディックの研究本は多数出ていますが、これが一番簡潔でいいですね 筆者も山野浩一氏、森下一仁氏、巽孝之氏など多彩ですし、さらには「異星人マインド」(仁賀克雄訳)という短編が一作おさめられています この本の特徴は日本で出版された際の表紙写真が添えられていること 特にハ... 続きをみる

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  • 朝のガスパール

    筒井康隆の新聞連載長編 帯にもありますとおり日本SF大賞を受賞してあります さらにこれは実験小説でもあり読者が意見を文書で送り、筒井氏が取り入れていくというもので、18世紀のイギリス人作家行った手法だという ちょうどパソコンが普及しだしたころで、インターネットにいち早く精通していた氏ならではの挑戦... 続きをみる

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  • 深夜の市長

    地元の紀伊國屋書店で新古本バーゲンで発見、購入いたしました なかなか海野十三の著作は読めないでいたので嬉しかった。こんなの刊行されているのも知らなかったので 収録されているのは表題作のほか「蠅男」「振動魔」「赤外線男」「三人の双生児」 今回はカテゴリーをSFにしたが、どちらかというとミステリー色の... 続きをみる

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  • 猫の首

    にゃんともまあ、可愛い猫の表紙 しかし、猫好きの方はこの小説は読まない方がいいですw 「日本沈没」「復活の日」などで知られる小松左京氏 やはりこの人は大長編の方が読ませる技量を持っています しかし、本書のような短編集やショートショート集も多数刊行されています でも、やはり大長編作家のイメージが強い... 続きをみる

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  • 重力地獄

    眉村卓の初期短編集 第1回SFマガジンSFコンテストで第二席入賞した「下級アイディアマン」が収録されている 眉村氏と言うとジュブナイルの印象が多いが、代表作の連作シリーズである「司政官」シリーズなど、短編はハードSFも多く、秀作も多い作家である また、この作品集には収録されたすべての作品に対して眉... 続きをみる

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  • METRO 2033

    ロシア発のSF小説 核戦争後、複雑な迷路のようになっているモスクワの地下鉄路線で生きる人々を描く作品 人びとはそれぞれの駅で集団をつくり、時に協力し、時に敵対する そして、その人類の脅威となるチュルスィ(黒き者)とはなにか なかなか楽しめる大作です、モスクワの地下鉄路線図が添えられているのもいい、... 続きをみる

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  • スロー・リバー

    1996年ネヴュラ賞受賞作 汚水処理事業で大成功した家の少女が誘拐され、両親は身代金を払おうとせず、一人の女性ハッカーによって救出されるというストーリー その後家に帰ることもできなくなった少女が、自分の人生を狂わせた謎を紐解いていくというもの まあ、全体的な話はともかく、この汚水処理というのがこの... 続きをみる

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  • ベトナム観光公社

    筒井康隆氏の第二短編集 このハヤカワ文庫版は絶版ですが、中公文庫版がまだそんざいするか、あるいは形を変えて中の作品は読むことが出来ます。全集にはもちろんすべて載せられていますしね この表題作は「家族八景」に続いて直木賞候補になりました これが取れていたら、もう少しSFというものの価値観が変わってい... 続きをみる

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  • 地を継ぐ者

    不老不死がテーマ この作品では人間は体内に無数のナノテクノロジーロボを入れておきます すると、病気になりそうな所や病気になってしまっている部分をそのロボが治してくれるというわけです なんか、本当にこんなのいつか発明されそうw まあ、そんな未来社会を舞台の中でサービス精神満載の展開で読ませてくれます... 続きをみる

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  • 終わりなき戦い

    最強の訓練と教育を受けた兵士たちが謎の異星人トーランと果てることのない戦いを繰り広げるという作品 福本直美氏(本書の解説は素晴らしいと思う)の解説によると、本書を書きあげる上で、作者はハインラインの「宇宙の戦士」を参考にしたとのこと 「宇宙の戦士」と言えば、あのガンダムのモビルスーツの参考にもなっ... 続きをみる

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  • 獣人伝説

    現代社会の腐敗にある日神は怒った 神からの指令を受けた主人公は人間の姿に化けて腐敗を横行させる「有尾人間」を次々と殺害していくが…… 半村氏の伝説がつく作品は別にシリーズでもなんでもなくすべてが独立した作品なのですが、これはストレートに面白い作品です しかし、このストーリーの転がし方は実に巧妙 悪... 続きをみる

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  • 柔らかい月

    イタリアの作家、イタロ・カルヴィーノの短編集 このハヤカワ文庫版は絶版だと思いますが、反リアリズム派の代表的作家なので、SFというカテゴリーではなくどこかで今も出版しているかと思います 表題作「柔らかい月」は月の一部が地球上に触手のように伸びてくる話 一瞬でなくなる物質文明を風刺をこめて描かれてい... 続きをみる

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  • クラッシュ

    個人的にバラードの最高傑作と思っている小説 現在では創元推理文庫で読めます これはクローネンバーグ監督で映画化されており、それはそれでよいのですが、この狂気のお話はやはり文章で味わう方が刺激的です 随分前ですがこのバラードのテクノロジー三部作と言われる一つの作品「コンクリート・アイランド」を紹介し... 続きをみる

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  • 銀の三角

    SFマガジンで連載当時から読んでいた銀の三角 萩尾望都氏の最高傑作と言われております しかし…… わからないw でもぐいぐいと読ませる力に満ちているから不思議 こういう作品は頭で理解しようとしてはならないものなのでしょうか この記事を書くにあたって、じっくりと今一度読み返してみました それでも、な... 続きをみる

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  • たったひとつの冴えたやりかた

    片山若子さんのカバーイラストがいいですね 表題作は念願の宇宙旅行へ出発した少女 銀河へ飛び立つ途中に冷凍睡眠に入るわけですが、その間に頭の中に一人のエイリアンが侵入 二人は協力しながら冒険を続けるというもの なかなか楽しい作品ですが少し悲しい結末がまっています 他に二本の中編が収められています さ... 続きをみる

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  • コロサス

    ハヤカワSFシリーズ、いわゆる銀背 この作品、映画にもなったのに一度も文庫化されなかったのが不思議 昨今でもはやりのAIが人間を支配するという話、その先駆けと言ってもいい話ですね アメリカで作られた巨大コンピューターコロサス 人間の判断を得ずともあらゆる軍事行動を発動できる権利をこのコンピューター... 続きをみる

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  • 宝石世界へ

    ニューヨークの地下鉄で早朝たまたま同じ車両に乗っていた警官と一人の娘 すると乗り合わせた他の乗客がすべてマネキンへと変わっていた! なんか、ドッキリのネタのような始まり方をする小説ですが異世界ものとしてなかなか楽しめる一冊です やがて地下鉄が到着する駅 そこはニューヨークのようでニューヨークではな... 続きをみる

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  • レベルセブン

    最終戦争ものの古典中の古典 これは絶版となったサンリオSF文庫版ですが、どこかで出しているんじゃないですかね、岩波とか河出とかで タイトルのレベルセブンとは4000フィートを超える地下にある秘密の原爆ロケット発射基地のこと そこに配属されたX-127なる人物の記録が主な内容 著者のモルデカイ・ロシ... 続きをみる

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  • スキャナー・ダークリー

    フィリップ・K・ディック後期の名作 これを書いたおかげで、この作家ジャンキーじゃねえかと、警察に疑われるようになってしまったというやつですw まあ、この作家は結婚と離婚をやたらと繰り返し、常備薬のアンフェタミンが切れたため、密売人からジェネリックもどきを買って膵臓と神経衰弱で入院したり、私生活にい... 続きをみる

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  • カンタン刑

    多くの筆名を持ち、様々なジャンルで小説を発表してきた式貴士氏 SFとしての第一短編集がこの本となります 10篇からなる短編集なんですけど、少し驚いたことがあって取り上げました 表題作の「カンタン刑」 これはあまりにも残虐な殺人行為を犯した場合、死刑よりももっと苦痛を与える刑罰を設けた未来社会の話で... 続きをみる

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  • おれに関する噂

    筒井康隆の名作短編集 「熊の木本線」は名作ですね、「世にも奇妙な物語」で映像作品にもなったようです(ごめんなさい、見ていません) でも「熊の木本線」は映像にしたらあまり面白くなさそうw こういうのは文章で読むからじわじわとくるのですよ 「幸福の限界」とか地味に好きです 最近の若い人はレミング現象と... 続きをみる

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  • おもろ放談

    70年代、星新一、小松左京、筒井康隆ら数人のSF作家による対談がまとめられた本です これはもう、正直面白い しかし、これ、現在出したらすぐネットで叩かれそうな内容で溢れかえってますねw 昭和の時代の方が発言もおおらかで良かったということでしょうかw もう、真っ先に語られている「インフレ・貨幣制度・... 続きをみる

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  • 真鍋博のプラネタリウム

    星新一氏の著作の多くの表紙絵&挿画を描かれた真鍋博氏 その挿画とショートショートの一部を紹介した一冊です 星氏の本では真鍋氏か和田誠氏のイメージがありますね 真鍋氏は以前に紹介したアガサ・クリスティーの表紙も描いており、独特の世界観があるイラストレーターです これは名作「おーい、でてこーい」の挿画... 続きをみる

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  • 砂上の影

    著者の久野四郎氏は昭和7年生まれ成蹊大学卒としかわかりません この本にはあとがきも解説もなく、また久野氏もこれ以外には全く違うジャンルの書籍を一冊刊行しているだけで、正直謎の作家であります この本には表題作を含む17本の短編が掲載されています その中の一編、私が特に気に入ったものをご紹介します あ... 続きをみる

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  • 最終戦争

    今日泊亜蘭(きょうどまりあらん)氏は大正10年生まれのSF作家 日本SF開拓者の一人でありますが、SFマガジンの初代編集長である福島正実氏からは敬遠されていたそうで、あまり評価されていないように思います この短編集も本人が「あとがきに代えて」と称して書いているように字使いの統一がなされていません ... 続きをみる

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  • 筒井漫画読本

    筒井康隆の小説を17人の漫画家が描いた一冊 それにしても、これを選ぶか的な作品が多くて笑えますw 「傷ついたのは誰の心」なんて蛭子さんが書いてこそ味がでますなw 「死にかた」は大好きな小説でも逆に漫画にすると味気なくなる 「トラブル」は絵にするとこんなに気色悪くなるのか 吾妻さんの「池猫」はなんか... 続きをみる

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  • ハイドゥナン

    タイトルの「ハイドゥナン」とは与那国島のこと これはなかなか壮大なスケールを持ったSF小説で、巫女というものがいかなるものかということを大胆に描いています 人間はついつい、この世を支配しているのは自分たちだと思いがちですが、そうではないことを痛切に感じさせる大作です 現在では文庫化され、加筆等され... 続きをみる

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  • 地球の長い午後

    巨大な温室と化した地球 その中で独自に進化を遂げた巨大植物 その中には歩行移動し、人間を食料とする植物も無数存在する 人類は地域ごとに分かれ細々と暮らしていた 未来社会テーマですが、現実に温暖化が進行するとこんな未来になるかも、と想像が浮かぶ作品です さすがにリアリティはありませんがw もとより温... 続きをみる

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  • アンドロイド

    ロボットという言葉はチェコの作家カレル・チャペックが考えたもの そのロボットをより人間に近づけたものがアンドロイド この小説が発表されたのは1958年 著者のエドマンド・クーパーはイギリス人ですが、この小説はアメリカで発表されました 何故ここまで人間に近いロボットが作られなければならなかったのかを... 続きをみる

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  • 天才はつくられる

    「ねらわれた学園」が有名な眉村卓氏 一時はジュベナイルの帝王みたいな時期がありましたが、中でもこの作品は秀逸だと思います 突如現れた天才グループから命を狙われる主人公 実は主人公にはある種の超能力が宿っていた 今では古いかもしれませんが、まあ、普遍的なテーマと言っていいでしょう この作品を上手にリ... 続きをみる

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  • シップブレイカー

    「ねじまき少女」の世界観をそのままに描いた新作 これはジュベナイルタッチで描かれていて逆に好感が持てました むしろ、こういう世界観はリアリティを優先するよりも、冒険心とかそういうのを中心として描いた方が楽しい話になりますしね まあ、どうしたって絶望感は漂うわけですがw シリーズにするのですかね、し... 続きをみる

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  • ムーン・バギー

    著者はカーキチを自認しています それにしても車の事だけで13本の短編を書けるだけですごいと言うしかない このブログを書くために読み直しましたが、すごく丁寧に書かれた文章で、ほどほど感心しましたよ 最高傑作はやはり「ニュルブルクリンクに陽は落ちて」 疫病で死滅しかけている人類 その中でサーキットレコ... 続きをみる

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  • クラーケン

    チャイナ・ミエヴィルは今一番勢いのあるイギリスのSF作家 「都市と都市」ではSFのスタイルを用いたミステリーで、各賞を総なめしました で、本書はもうエンターテイメントに徹してありとあらゆる文学の要素がぶち込まれていますw ひとくくりで言えば伝奇作品ですかね 日本でもちょくちょく話題のダイオウイカ ... 続きをみる

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  • 時計じかけのオレンジ

    S・キューブリックの映画で有名な本作 しかし、アンソニー・バージェスのこの畳み掛ける文章は、暴力的と批判された映画以上に破壊力抜群です はっきり言ってキューブリックはこの小説だけには負けたんじゃないかな 個人的にそんな気がします S・キングを怒らせた「シャイニング」なんかも、私はキューブリックの上... 続きをみる

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  • 吸血鬼ゴケミドロ

    『吸血鬼ゴケミドロ』予告編 和製SFホラーとしては貴重な作品でもある「吸血鬼ゴケミドロ」 こういう作品にありがちな人間関係の豹変なども描かれ、ドラマとしてもなかなかのものです 更には松竹映画というのも珍しく、この作品と「昆虫大戦争」は怪獣映画ではない特撮ホラーとして異色の輝きを放っています 松竹は... 続きをみる

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  • 創世の島

    帯に「これぞ新世紀のサイエンス・フィクション」と書かれております しかし、内容はかなりオールデーです 言ってしまえば古典的 とどのつまり、嫌っていうほどSF小説を読み続けた人間としては新しさのかけらもない、いたって普通のSF小説です ただ、これからSFという文学に入門するなら、ある意味素晴らしい入... 続きをみる

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  • 火星縦断

    以前、「火星の人」という作品を紹介しました しかし、この小説はもっとすごいです 「火星の人」が個人のサバイバルだとして、今回は複数の人間でのサバイバル さらにはこの小説の作者が NASAの火星探査計画最前線に立つ科学者なのです でもね、そういう人が書いた小説ってたいてい面白くないんですよ やたら科... 続きをみる

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  • 異星人の郷

    これはかなり大胆なSF小説です 14世紀のドイツで異星人とのファーストコンタクトがあったそうな それも地方の村で 映画にしたいくらいに面白いですね 設定だけ借りて日本版を作るのもいいかもしれません 鎌倉時代とかで、二人の息子を亡くした北条政子が傷心に浸っていると、すごい物音がして、UFOが目の前に... 続きをみる

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  • 第六大陸

    人類にとって新たな大陸、月 そんな月のテラフォーミング計画を真面目にとらえた作品です 西暦2025年、日本のある企業が月面に結婚式場第六大陸建設計画を打ちたてます そこに至るまでの様々な苦難、そして問題、NASAからの横槍などが赤裸々につづられます この中で書かれていますが宇宙デブリ(ゴミ)は大問... 続きをみる

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  • 国境線は遠かった

    柳原良平氏の表紙絵がいいですね この集英社版の短編集は絶版でしょうが中身はいろいろな形で今でも読めます 収録作は7作 先月、石原藤夫氏の「画像文明」の中で紹介した「たぬきの方程式」も収められています 表題作や精神病棟を舞台とした「穴」など、本当にアホらしい(失礼)作品が多いのですが、特筆すべきは「... 続きをみる

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  • 砂漠の惑星

    スタニスワフ・レムと言えば代表作「ソラリスの陽のもとに」が真っ先に浮かびます この作品は「惑星ソラリス」「ソラリス」と2回映画化され、ご覧になった方も多いでしょう 特に先に映画化されたタルコフスキー監督作品の「惑星ソラリス」は名作の評価を得ています ソラリスでは惑星自体が意識を持っているという設定... 続きをみる

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  • 人形つかい

    これももはや古典と言っていいでしょう ロバート・A・ハインラインの異星人の侵略SFです 元来、ハインラインは右翼思想、タカ派のイメージがある作家ですが、本作でもそれは顕著に表れています。ただ、どことなくらしくないユーモアも挿入されていて、娯楽色に徹した作品と言っていいかもしれません 海軍士官であっ... 続きをみる

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  • 宇宙塵版 派遣軍還る

    SFファンだと、光瀬龍さんと言えば「百億の昼と千億の夜」を思い浮かべるでしょう 小説というよりも、のちに萩尾望都さんの漫画の方がインパクトが強いのかもしれません しかし、私は圧倒的にこの作品を推します!すべてが素晴らしい! アルテア星群域戦に派遣された4000の兵団が終戦を迎え帰還します 兵士たち... 続きをみる

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  • シリウス

    1944年に発表された小説 シリウスというのはこの作品に登場する、ボーダー・コリーの血を持つ犬の名前 科学者によって人間に匹敵する知能をもたらされた犬の物語です はっきりといいますがこの手の作品、決まって悲劇が待ち受けています ただ発表された年代で考えると当時は画期的な作品だったのでしょう 事実、... 続きをみる

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  • ディアスポラ

    イーガンも刊行されているものはほとんど読んでます 難解だ難解だとよく言われますが、SFですからね、なんとなくわかったような気になりながら読み切ればいいのですよw 30世紀の世界、人類は肉体を捨ててコンピューターないの仮想空間でアバターとして暮らすんですってw もうこれだけでお手上げな人は手を挙げて... 続きをみる

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  • 戸隠伝説

    半村氏の伝奇作品は時としてものすごい切り口から襲い掛かってくることがあります この小説などまさにそう 試しに最初と最後だけを読んでみる(そんな人いないよw) すると、なぜこの始まり方から、こういう終わり方になるのか わけがわからなくなるでしょうねw そして半村さんのもう一つのすごいことは 歴史の中... 続きをみる

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  • ダーティペアの大冒険

    この作品が小説発だということを知らない人も多いのでは? 高千穂遙氏の出世作です 今で言うラノベのように思われがちですが、古典である「宇宙船ヴィーグル号の冒険」のオマージュなどがあり、立派なスぺオペとして成り立っています 表紙イラストはガンダムで大ブレイク前の安彦良和氏 中イラストもふんだんにあり楽... 続きをみる

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  • さよならダイノサウルス

    ソウヤーは外れの少ない貴重な作家です いろいろ傑作がある中でこれ、1500万年前へタイムマシンで赴き、恐竜絶滅の謎をつきとめるというもの そもそも、恐竜絶滅説はいろいろささやかれています やれ、隕石の襲来だの、氷河期だの しかし、はっきりわかってはおりません そりゃあそうだ、誰も見た人がいないのだ... 続きをみる

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  • ペンギン・ハイウェイ

    若者よ! おっさんだってモリミー読むしセカオワ聴いたりするのだ! ドラゲナイ! 第31回SF大賞受賞作 小学4年生が主人公と言うのが新味なところでしょうか うちの息子がまさにこの年です この小説のアオヤマ君も賢いけど、今の小4はこんな感じなのですかね おっぱいに興味があるのは健全でいいですがw こ... 続きをみる

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  • ツィス

    ある日突然、一定のリズムである音が聞こえる 一人の女性がそう訴えるところから物語は始まります そして、その耳障りな音が聞こえる人々が拡大し一大パニックに タイムトラベル小説の金字塔と言われる「マイナス・ゼロ」の作者の第二長編です これは割と現代でも同じようなことが起きるのじゃないかと案じさせる怖さ... 続きをみる

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  • 火星の人

    火星はよく小説や映画の題材で使われる星です まあ、金星はガスで出来ているし、他の星は遠いから仕方ないかw 火星の人と言っても火星人を描いた小説ではありません これは友人火星探査が行われている時代に、一人のクルーが砂嵐に巻き込まれ、仲間たちや船とはぐれてしまうというサバイバルもの なかなかよくできて... 続きをみる

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  • シリンダー世界111

    4年前に刊行されたSFミステリー シリンダー111はAIが作った宇宙ステーション そこで殺人事件が発生、主人公の女性捜査官が謎を解く と、まあ、ありきたりな設定で、読み終わった後の感想は正直「ふうん」レベルでした でもね、なんとなくあとからじわじわとくるのですよw この111には回転軸のところにア... 続きをみる

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  • マタンゴ

    俳優の小泉博氏がお亡くなりました 追悼でこの作品を これはただのSF映画ではなく極限状況での人間心理が見事に描かれている傑作だと思います 遭難し、孤島にたどり着き、食物探しのサバイバル ウミガメの卵を見つけてブルジョワから金をむしりとる男 巻き起こる争い そして不気味に忍び寄る影 そんな中、一番冷... 続きをみる

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  • 緑魔の町

    筒井氏の数少ないジュブナイル小説 これがなかなか面白いのですよ だいぶ昔NHKの少年少女ドラマシリーズで放送されていたそうですが、タイトルが変更になっていたようです(確かマッドタウンだったかな?うろ覚えですみません) たまたま地下室にいて侵略から逃れた主人公の少年が、野宿をするときに新聞紙を布団代... 続きをみる

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  • 通りすぎた奴

    9作からなる短編集 しかし、何と言っても名作は表題作 超高層ビル社会、人々は何万フロアもあるビルの中で暮らし、二日がかりで職場のフロアまでエレベーターで行き来したりします。そのためフロアによっては宿泊所があったり、エレベーター弁当、略してエレ弁なるものが売られていたりします しかし、人々の生活は至... 続きをみる

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  • アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

    P・K・ディックの不朽の名作 難解な作品が多いディックの中では非常にわかりやすい作品 人間に紛れた脱走アンドロイドをバウンティハンターが狩りにいく話 この作品では生物がほとんど死滅した社会の中で人々は動物を飼うことをステータスとして生きています なので、ラストで主人公がヒキガエルを見つけるシーンは... 続きをみる

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  • トリフィド時代

    SFの古典です この作品が生まれるまでSF小説はウェルズの「宇宙戦争」とかヴェルヌの「海底二万哩」とか、どちらかというとまだ少年少女向けと言う見方がされていたようです ただ、この小説が発表されてから見方が大きく変わり、SFと言うジャンルが大人にとっても楽しめるものであることを浸透させたのです トリ... 続きをみる

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  • ねじまき少女

    帯は少し大げさw 帯を外して写真撮ろうとも思ったのですが、なんか、この大げさ感を残しておきたくてww 近未来のバンコクが舞台、世界各地の主要都市が水没している世界観でバンコクが水没していないことがまず驚きですw きっと、水没対策がなされていたのでしょうw 化石燃料が枯渇しているのでそれに代わるエネ... 続きをみる

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  • 戦慄の神像

    川田武氏の第二長編です 無名の新人が衆院選の奈良選挙区でトップ当選し、未開発地域の開発計画を発表するとまるで教祖のごとく信者が集まり始める なんとなく昨今でも聞いた話ですねw選挙で頓挫してしまったようですが これは伝奇SFで藤氏一族の謎に迫った作品です 大化の改新で後の天智天皇となる中大兄皇子と手... 続きをみる

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  • 霊長類南へ

    私が筒井康隆氏の長編小説を初めて読んだのが「48億の妄想」 これはカメラ社会のマスコミ風刺の小説でしたが、素晴らしい出来で今なら映画に出来るのではないかとさえ思っています 次に読んだのが「俗物図鑑」これはもう何と言っていいか、完全に筒井ワールドを確立した作品として仕上がっています そして3番目に読... 続きをみる

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  • 銀河パトロール報告

    横田順彌氏の著作、おそらくは絶版でしょう 筒井康隆氏の作品の多くがドタバタ喜劇であるのに対し、横田氏は自分の作品をこう呼んでいます ハチャハチャ小説w もうパロディ満載ギャグ満載で大の大人が手に取って読んだらむしろ腹が立ってきそうな作品が詰め込まれています この本は二つのシリーズで構成されており、... 続きをみる

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  • シナリオ戦国自衛隊

    半村良氏の小説もこのシナリオも読んだのは中学生の時 クラスにミリタリーオタクがいて、日ごろ小説など読まないのに、これだけは読んでいて話が合いました ただ、私は映画は当時見ていなくて、初めて見たのが京都に修学旅行に行ったときに、部屋のテレビで放送されていたのを見たのが初見でした その時は案外シナリオ... 続きをみる

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  • 両面宿儺

    和田誠氏の表紙イラスト 実は内容とはマッチしていませんw 表題作である「両面宿儺」というのは日本書紀に記されている化け物の事、本文中にもその引用があります 飛騨の国に一人の男がいて宿儺と言った。その人となりは体一つに二つの顔があり、それぞれの顔が反対を向いていた。頭の頂上で合わさっているからうなじ... 続きをみる

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  • コンクリート・アイランド

    以前「いさましいちびのトースター」を紹介した時に作者のトマス・M・ディッシュと並んで紹介したJ・G・バラード インナースペース(内的宇宙)ものを書かせたら天下一品。そしてディッシュと明らかに違うのが、どこかしらバカバカしさが伴うこと。同じ閉塞感や迷走感を与えるものの悲観的になりすぎない良さがありま... 続きをみる

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  • 美しい星

    かの三島由紀夫氏がSF小説を書いていたことをご存知でしょうか? この小説はある日、突然普通に暮らしていた家族が自分たちは宇宙から来たのだということを思い出すところから始まります まあ、内容は興味をもたれたら読んで楽しんでもらえればいいので、ここでは三島由紀夫氏と私の関係について書かせていただきます... 続きをみる

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  • 地球はプレイン・ヨーグルト

    梶尾真治氏の第一短編集です この形の本では今では売られていないでしょうが、様々な形で今読めると思うので絶版扱いはしませんでした 収録作品は 「フランケンシュタインの方程式」 「美亜へ贈る真珠」 「清太郎出初式」 「時空連続下半身」 「詩帆が去る夏」 「さびしい奇術師」 「地球はプレイン・ヨーグルト... 続きをみる

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  • 二次元の世界

    ブルーバックスで460円!大いに時代を感じさせる一冊です。ブルーバックスで小説が出版されることも稀なことだと思うのでレアはレアですなw これは全く人間が登場しないSF小説です。主人公は四角形w 古い小説なので偏見が入りますが、知性が少ない直線は女性、兵士は二等辺三角形、主人公の正方形は知識階級で、... 続きをみる

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  • 73光年の妖怪

    これは一時期絶版だったけれど、今は新訳で再刊されているのかな? フレドリック・ブラウンの地味な傑作です 映画にもなった漫画「寄生獣」はあれは地球が生み出したものでしたが、宇宙から来た未知なる生物が人間をのっとるという構図は、映画「ヒドゥン」に近いかもしれません ただし「遊星からの物体X」のように無... 続きをみる

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  • 破滅の日

    なんともいいカバーイラストw これは講談社文庫で出ていた海外SF傑作編というアンソロジーシリーズの一冊 収録されているのは、クラーク、ムーア、ハインライン、マティスン、コッペル、シェクリィ、ジャトコと豪華なメンツです まずはSF界の大御所アーサー・C・クラーク「太陽系最後の日」実はこれがクラークの... 続きをみる

  • 74日本SFベスト集成

    今から41年前に発表されたSF作品のアンソロジー 筒井氏がこのスタイルでまとめたのは他に3冊ありますが、特にこの74年版は傑作が揃っています 自身の「佇む人」や半村良氏の「フィックス」豊田有恒氏の「渋滞」は今読んでも面白い 眉村卓氏「屋上」と星新一氏「有名」は他にもう少し傑作があったのではとw 小... 続きをみる

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  • 怪奇大作戦

    これ一冊だけなのが惜しい! 全6話、うち3作はドラマ作品を一部脚色して描いたもので、残り3作は桑田氏のオリジナル 「人食い蛾」「殺人回路」「吸血地獄」はそれぞれ「蛾」「死を呼ぶ絵」「二つの顔の少女」と改題されている それにしても、この3つのチョイスは少し微妙w 特に、怪奇には向いていないのではない... 続きをみる

  • 悪徳学園

    平井和正氏の人気シリーズだったウルフガイ 「狼の紋章」では犬神明、「狼男だよ」からは神明というルポライターが主人公にかわり、アダルトウルフガイとか呼ばれていました その先駆けとなった短編がこの本の表題作 「狼の紋章」はかなり好きな作品ですが、この短編は短編でかなり完成されており、読みごたえはありま... 続きをみる

  • いさましいちびのトースター

    長崎訓子さんのこのカバー画、可愛らしくもスタイリッシュで好きですね これはSF作家トーマス・M・ディッシュが書いたSFメルヘン小説です 森の中にある小さな別荘で主人に置き去りにされた電化製品たちが、主を探す旅に出るという、ありそうでなかったストーリー 中には長崎氏の挿画もあり、電化製品の冒険の旅に... 続きをみる

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  • 盗まれた街

    ハヤカワSFシリーズで0001を記録するジャック・フィニイの「盗まれた街」これ私が購入した初のSF小説の文庫でもあるのです中学1年の時でした。それまでは図書室で夏目漱石を読み漁っていた時、新しく同級生になった友人からSFと言うジャンルを薦められ、筒井康隆、星新一、小松左京などを読みながら、自発的に... 続きをみる

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  • 50億ドルの遺産

    山田正紀氏の名前を出したのであえてこの作品も筒井康隆氏は「気まぐれ讀書ノート」という本で50億ドルは流石に多すぎるのではないか(現実味がない)と書かれていたが、現実はだいぶ近づいてきたのでは?ただ、これを映像化する場合はその時代に合わせた方がいいか、やっぱりだとすると同じ作者で「裏切りの果実」の方... 続きをみる

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  • 石の血脈

    寄生獣やパトレイバーが実写化されるのなら今こそ半村良氏の作品も映像化されるべきではないでしょうか?石の血脈を映像で是非とも見てみたいまあ、半分は駄作に終わりそうで怖いですがw一緒に脚本作りをしたいという、ディレクター、プロデューサーを募集しますこういうのは他にもたくさんありますね山田正紀の「謀殺の... 続きをみる

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  • 画像文明

    石原藤夫氏のSF小説は科学的根拠もたっぷりで、今でも時代を超えて読めるものが多いのだが、残念ながら、そのほとんどが絶版になっている。有名なのは惑星シリーズだが、ここでは6作の短編を収録した「画像文明」から一つをピックアップして紹介する。<以下ネタバレ注意>トム・ゴドウィンの不朽の名作に「冷たい方程... 続きをみる

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