川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

日本戦陣作法事典

いわゆる戦の事がまとめられた事典
構成は1、陣触 2、着到 3、出陣 4、軍陣の役割 5、陣中 6、合戦 7、戦争で被害を受ける農民 8、軍装 そして合戦用語集が添えられています
まあ、実際に時代劇で戦を描く場面でこうも作法に乗っ取りなどと言うことはやってられないのでほとんどが割愛されるわけです、こういうバックボーンを知っておかないと、たとえば、原作者が戦においてこういう旨い表現をしているなとか、これが案外伏線になっているのだななんてことを見逃してしまい、せっかくの原作の素晴らしい場面を平気でスルーしてしまうこともありがちなので、事前の予備知識というものは必要なのです
特に古来の戦は、かなり双方の取り決めがあって、たとえば「義経」での一の谷なんかはそうとうな取り決め違反であったわけで、ただ単に勝つだけでなく、その勝ち方も問われたのが、日本古来の戦なのですな
この本は項目一つ一つにイラストがあり、非常にわかりやすく構成されています
戦国物を書くときの必需品といってもよい一冊です

NHK大河ドラマ 義経 完全版 第壱集 [DVD]
NHK大河ドラマ 義経 完全版 第壱集 [DVD]
メーカー:ジェネオン エンタテインメント
登録日:2006-01-25
カテゴリー:DVD


NHK大河ドラマ 義経 完全版 第弐集 [DVD]
NHK大河ドラマ 義経 完全版 第弐集 [DVD]
メーカー:ジェネオン エンタテインメント
登録日:2006-03-24
カテゴリー:DVD

朝のガスパール

筒井康隆の新聞連載長編
帯にもありますとおり日本SF大賞を受賞してあります
さらにこれは実験小説でもあり読者が意見を文書で送り、筒井氏が取り入れていくというもので、18世紀のイギリス人作家行った手法だという
ちょうどパソコンが普及しだしたころで、インターネットにいち早く精通していた氏ならではの挑戦であり常に新しいものに目を向ける様は流石天才肌
そして、その小説の出来はやはり筒井ワールドであり、筒井ワールドに踏み込むことは所詮は筒井ワールドに押しつぶされ吸収されるだけなのだということがよくわかる
この単行本には、新聞連載中の真鍋博氏の挿画も取り入れられていて非常にいい(ところどころ落ちているのは残念だが)


本日は
朝に「夕暮れ」
昼に「深夜」
夕方に「朝」
とまとめてみました
チャンチャン♪

深夜の市長

地元の紀伊國屋書店で新古本バーゲンで発見、購入いたしました
なかなか海野十三の著作は読めないでいたので嬉しかった。こんなの刊行されているのも知らなかったので
収録されているのは表題作のほか「蠅男」「振動魔」「赤外線男」「三人の双生児」
今回はカテゴリーをSFにしたが、どちらかというとミステリー色の強い作品がこの本には集められた
「振動魔」だけ読んだことがあったが、他はすべて初読である意味新鮮
古い時代の小説なので多少読みづらい面はあるが、それは致し方なし
「振動魔」を読んだことがあったのは、短いながらも傑作だからだろう、何かのアンソロジィで読んだのだろうが、一番破綻がないしまとまっている
それと逆で「深夜の市長」は長い割に破綻しまくっているw
まあ、海野十三はそういうところがいいのだがw
「火星船団」なんかも読んだが、むしろ海野十三作品を顕著に表しているのは、この作品集のようにミステリーとSFの融合ではないかと思います