川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

通りすぎた奴


9作からなる短編集
しかし、何と言っても名作は表題作
超高層ビル社会、人々は何万フロアもあるビルの中で暮らし、二日がかりで職場のフロアまでエレベーターで行き来したりします。そのためフロアによっては宿泊所があったり、エレベーター弁当、略してエレ弁なるものが売られていたりします
しかし、人々の生活は至って凡々、そんな折、主人公は一人の変わった男と出会います
男はこのビルの階段を上って屋上を目指しているのです
いつしかこの男のことを周囲の人々は「旅人」と呼ぶようになります
旅人とささやかな交流のあった主人公は、ある日気づきます
今日、旅人は屋上へとつく日だ
慌てて主人公がエレベーターで屋上までやってくると、そこには旅人の到着を見届けたいと多くの人々が駆けつけておりました。そして、そこへ旅人の姿が現れます。そしてその旅人に対して群衆が求めたものとは……



これは、かなりインパクトを残した作品です
つい最近全都道府県で揺れを感じるという広範囲な地震が発生しました
その時何百台ものエレベーターが停止し、不安な環境に置かれた人も多かったと聞きました
高層ビル社会では、もはやエレベーターでも公共交通機関のようなものですよね
そんな折、ふとこの作品を思い出しました
今読んでも背筋がうすら寒くなりますw
今回は大事故にはつながらなかったようですが、いろいろと考えさせられました

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