川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

殺意という名の家畜


河野典生氏のデビュー作
とにかくタイトルにインパクトがあります
でも、内容と一致しているかと言うとなんともw
更にミステリーの質としてもハードボイルドの質としても今読み直すといかがなものかと
ただね、この人の文章、とてつもなくよいのですよ
心地よい話の運びがあるのです、内容が面白い面白くないじゃなくて
ここに非凡さを感じたのか、当時のSFマガジン編集長の福島正実はSF世界に彼を引っ張り込んでいきます
結果「街の博物誌」というリリカルな短編集を彼は残すことになります
河野氏はすでに亡くなられましたが、存命中は常にアルコール依存症との戦いであったと聞いています
これは時代背景がもはや合わないので再刊されることはないかと思います
ただ、この内容にピンとこないタイトル、さらには良くわからないけどインパクトのある表紙イラスト
これを見ただけでも古書店で手に取ってみて欲しい一冊です
良質な文章に付き合える一冊であることには間違いありませんから

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