川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

コンクリート・アイランド


以前「いさましいちびのトースター」を紹介した時に作者のトマス・M・ディッシュと並んで紹介したJ・G・バラード
インナースペース(内的宇宙)ものを書かせたら天下一品。そしてディッシュと明らかに違うのが、どこかしらバカバカしさが伴うこと。同じ閉塞感や迷走感を与えるものの悲観的になりすぎない良さがあります。
この作品は「クラッシュ」「ハイーライズ」と言う他の作品を含めた、テクノロジー三部作の二番目に発表された作品です
主人公は自動車事故を起こし、複雑に入り組んだ高速道路の閉ざされたデルタ地帯へと放り出されます。果たしてここから無事に脱出できるのか、もうただそれだけがこの小説の肝
そして、閉ざされた状況にいることが現代社会の中で生きることとなんら変わりがないことを感じ始める……
個人的感想では第一作の「クラッシュ」の方が好みでしたが、この作品も読み終わった後、じわじわくるものが多くて好きです
更にこの本には山形浩生氏のバラード論評も併せて掲載されているので少しお得感があります

×

非ログインユーザーとして返信する