川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

国境線は遠かった


柳原良平氏の表紙絵がいいですね
この集英社版の短編集は絶版でしょうが中身はいろいろな形で今でも読めます
収録作は7作
先月、石原藤夫氏の「画像文明」の中で紹介した「たぬきの方程式」も収められています
表題作や精神病棟を舞台とした「穴」など、本当にアホらしい(失礼)作品が多いのですが、特筆すべきは「欠陥バスの突撃」
これは素晴らしいですよ
一人の男の人格をバスに乗る乗客に見立て
色情、サラリーマン根性、老人、放蕩、計算機、気障、創造、知識、子供、アニマ、食欲、アル中、批判、好奇心、運転手、サービス、自虐の17の人格が交互にあらわれ、女性をホテルに誘って性交を営むまでを描き、かつそれを語るのが、ドタバタ精神という
まるで完成された現代落語のような素晴らしさ
更には「ビタミン」や「フルネルソン」のような実験作まで収録されています
筒井ワールドの魅力満載の一冊
若い頃に出会えてよかったw

×

非ログインユーザーとして返信する