川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
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人形つかい


これももはや古典と言っていいでしょう
ロバート・A・ハインラインの異星人の侵略SFです
元来、ハインラインは右翼思想、タカ派のイメージがある作家ですが、本作でもそれは顕著に表れています。ただ、どことなくらしくないユーモアも挿入されていて、娯楽色に徹した作品と言っていいかもしれません
海軍士官であったハインライン、この時代、アメリカは朝鮮戦争などを経て、共産国家と対立状態にありました
ハインラインが次々と生み出した作品群が読者にうけたのは、そうした情勢も影響したのかもしれません
それでいて「異星の客」(創元推理文庫)はヒッピーの経典と呼ばれるようになったり
また、「宇宙の戦士」は後に日本のアニメに影響を与えたりと
やはり、単に右翼的思考の作家と言うよりも、影響力を与え続けるエンターティナ―性のある作家だったのでしょう
本書で書かれる侵略者は人間を背中でコントロールするナメクジ
これを撃退することを、原爆と付き合ってきた我々と表現するところなど、まさにハインライン節がきいています
これ、今絶版なのかもしれません
でも、ハインラインの入り口としては読みやすくていい本なので、再販してほしいですね

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