川上英幸のブログ

脚本家川上英幸がゆるゆると書き残すブログです
主に野球、相撲、競馬、読書、映画関係

冬の旅


立原正秋氏の小説も絶版が多くなり、今手軽に読める作品も少なくなってきました
ただ、この小説はなんとか読み継がれているようです



初めて読んだのは小学校高学年でしょうか、写真は文庫ですが、ハードカバーを母から手渡されました、これを読めと
主人公行助は、義兄修一郎が母親を凌辱しようとしている現場に出くわし、太ももを刺して少年院へと送られます
その少年院で出会いやら友情やら、自己との格闘やら
読ませてくれるのです
非行とはなにか?それを問うた社会的意義のある作品でもあります



中で一番感動し場面は、少年院で行助と仲の良かった少年が出所後事故死し、葬式に出席するため仮釈放が許され電車で向かうシーン
ここで、行助は弁当を買います
久しぶりの娑婆の飯です
おいしいなあ、おいしいなあ
そうつぶやきながら食べるのです
更にもう一つ弁当を、そして鯵寿司を買いそれも食べます
なんか、この短い数十行の中に心打つ描写が集約されている気がします


NHKで昔ドラマ化されたそうで
今リメイクしてもいけそうな気がしますがどうでしょう?

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